GIGAZINEのサーバはこれまでのさまざまな記事を見れば分かるように社内に置いてあるわけですが、これは「社長の趣味」とかではなく、まっとうな理由があります。それは「提供している記事の中身がクラウドやVPSなどの外部サービス企業の規約に縛られる」ため。
これはどういうことかというと、例えば有名なWikileaksの事例を考えるとわかりますが、大スクープとしてアメリカ国家がこれまでどれだけめちゃくちゃなことをやってきたのかを示す外交公電をネット上で公開したところ、ホスティングサービスの規約違反という形で、まずAmazon EC2が停止されました。さらに寄付金を受け付けるPayPalも規約違反であるとして停止してしまいました。
これらは極端な事例ですが、例えばGIGAZINEに掲載されている記事を気に入らない誰かがいるとして、その記事に対して正当な削除依頼ができない場合、GIGAZINEが利用しているサーバのホスティング会社に依頼して「規約違反の情報を配信している」としてGIGAZINEを停止させることは十分可能なはずです。「そんなことをするヤツはいないだろう」と思われるかもしれませんが、実際にそういうのはこれまで過去何度もあり、ホスティングサービスの規約を使って記事を削除させようということはあるわけです。
というのも、ホスティングサービスは結局はお金が儲かればそれでいいわけなので、こちらの記事が正しいかどうかは考慮しません。「そんなに文句があるなら裁判でもすればいい、ただし裁判中はサービスは停止するけどな!」というわけです。
このようなリスクを回避するために、自前でできるだけサーバを持つという選択をGIGAZINEは行っているわけです。事実、「ブラック企業大賞2012にノミネートされた会社リストまとめ – GIGAZINE」を掲載した3日後には、記事中のとある企業の弁護士事務所から主任弁護士名義の内容証明郵便で「記事を削除しないと裁判で訴えてGIGAZINEをツブす」というような意味の内容が送りつけられてきたこともあります。もし自前のサーバでなかった場合、この内容証明郵便はホスティング会社に届き、トラブルを回避したいような体質の企業であれば、GIGAZINEのサーバをいとも簡単に止めていたはずです。
このような例はわかりやすいのですが、中には「なぜ?」というような記事であっても、ただ単に「気に入らない」という本当の理由をいろいろと「規約違反である」というようにすり替えて、攻撃してくるケースは多いです。
ただ、すべてを自前で用意できるわけではなく、自社内に集中させていると今度は物理的にサーバを破壊された際にアウトになります。そうでなくても、地震・火事・洪水などの天災によってもサーバが破壊される可能性はありますし、停電や通信ケーブルの断線などによってもやはりGIGAZINEは停止してしまいます。
そこでGIGAZINEでは既にアメリカのデータセンター内にバックアップサーバなどが用意されており、実は今までも何度も気づかないだけで、いつのまにか海外サーバにさりげなく切り替わって、いつのまにか戻っていたりします。
このように自社内でのサーバ構築と運営、さらにこの規模では珍しいディザスタリカバリのシステム構築に伴って蓄積されてきたノウハウは数知れず、さらに強固なシステムを作り上げるべく日々、最先端の技術とスキルの試行錯誤が行われているわけです。